先生は当院で初期研修を修了されたそうですが、当院を研修先として選んだ理由は何でしたか?
五島中央病院では研修医が即戦力として働くこととなる第一線の病院です。研修医が少人数であり、そのメリットは、各科の疾患を多く経験できること、それに伴って多くの手技を経験し、見に付けられることだと思います。また、指導医にマンツーマンで指導してもらえ、総合医局で、垣根が低く、他科の先生とも充分にコミュニケーションを取れる非常に良い環境と思い、初期研修先として選びました。
実際に研修されて、指導体制や研修の特徴についてはどう思われましたか?
内科系を回っていれば、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、腎臓内科、血液内科など、一つの科だけじゃなくて色んな科にわたる患者さんを指導医の下、受け持ち幅広く経験することができ、毎週行われる内科カンファレンスにおいて受け持つ症例関してプレゼンテーションを行い、プレゼンテーションの指導も受けます。先程にも言ったように研修医が経験でき、完遂できるようになる手技は他院と比較して多いと感じました。外科系の研修中もしくは研修終了していれば、研修で回っていない科でも手術に入り、直にみて経験できたり、救急外来において直に指導して頂けたので医局全体が育ててくれる環境があったと感じました。
2年間五島で生活されて、どうでしたか?何か不便だったことは?
予想していたより不便さは感じなかったです。最初はどんなところだろうかと不安もありましたが、当初あった閉鎖的なイメージはなく、2週間くらいで慣れました(笑)。アクセスとしては、福岡まで飛行機で約30分。長崎の大村まで20分。ジェットホイル(高速艇)で、長崎市まで1時間20分。長崎より福岡の方が近いので遊びに行くなら福岡に行くことが多かったと思います。五島は、人と人が近く、暖かい間柄なんだと感じました。食は文句なく、美味いし、安い。五島牛も新鮮な魚も美味しい野菜も。のどかな道やどこからでも見ることができる鬼岳にホッとする瞬間があります。鬼岳から見上げる五島の星空は実に綺麗で、流れ星もみることができます。最近、Iターン・Uターンで、五島を気に入って住む方が増えていると耳にしますが、誇れるものがあっていいところだと思いますし、僕もその一人です(笑)
先生は循環器内科が専門でいらっしゃいますが、
また、どのくらいの時期に決めましたか?
元々、救急疾患・急性期疾患に興味があり、内科では循環器疾患を中心に診ることとなりました。心臓カテーテル検査(冠動脈造影、右心カテーテル検査)をさせてもらい、経皮的冠動脈形成術にもつくことができ、実際急性心筋梗塞における治療前後で、激烈な症状が劇的に改善する様子を目の当たりにしたことで、さらに興味が湧きました。とっつきにくい心電図も、数多く診ていくことで、心電図の変化が心臓の状態として捉えることがなんとなくできるようになってから、その奥深さにも興味を持ちました。外科系においては産婦人科にも興味があり、放射線科の血管内治療にも興味がありました。いずれも、延長して研修しましたが、科を決める段階では正直、非常に迷いました。最後まで本当に悩み続け、2年次の3月頃、循環器内科へ進むことを決めました。
2年間で一番学んだと思うことはどんなことですか?
もちろん症例経験や技術の習得もできましたが、一番成長できた部分は内面的な部分だと思います。研修医は直接、患者さんを助けることはできませんし、治療の検討はできても、決定はできません。何もできずに、看取ることもあります。患者さんの気持ちをいかに汲んであげて、足しげくベッドサイドに向かうことが患者さんにできる大きな仕事でした。そうすることで、指導医の主治医より長い時間患者さんやその家族に寄り添うことになります。その方々とのコミュニケーションを通して、どう感じ、どう思っているのかを汲み取ることで、患者さんやその家族の気持ちが前向きになってくれることを実感できました。その時に感じた気持ちは、今でも、患者さんに対する気持ちの礎になっています。
五島中央病院での研修は、どういう人にオススメだと思いますか?
以前、よく学生に話をする機会がありましたが、研修に際して、何がしたいのかが原点だと思います。ある分野・疾患を深く掘り下げて経験したいのか、幅広く経験したいのかです。初期研修が終了した3年目になって一人で病棟に出た時に困らないように初期研修をすることが大事だと考えます。五島中央病院の研修医数が少ないことで、研修医数が多い大きな総合病院と比較して色んな症例、多岐にわたる手技を経験・習得できることがメリットです。これまでの話で、少しでも興味をもってくれる方なら誰にでも初期研修の2年間はオススメです。